プロローグ〜いわゆる序章〜
時のはざまにただ一隻、漂う艦があった。
艦に乗っているのは、『Time Trippers』という者達。
彼らは一体何者なのか?
目的は何なのか?
知る者は、彼ら自身のみである・・・。
ある時、事件が起こった。
艦の中で、一人の赤ん坊が生まれた。
だが、出産時のトラブルで赤ん坊は命が危険な状態に陥ってしまったのだ。
治療を施そうにも、医療機器のエネルギーが限界で、補給を行わないと何もできない状態だった。
一刻を争う事態に、艦長はエンジンの出力を限界まで上げ、1秒でも早く治療が行えるよう、先を急いだのだ。
しばらくして、艦を最悪の事態が襲った。
エンジンが爆発し、その衝撃で巨大な時空のひずみが発生したのだ。
その時、艦内にも小さい時空のひずみがいくつか発生し、何人かの人々と、一人の赤ん坊をさらっていったのであった。
艦長はすぐにクルー達を通信塔に集め、艦から切り離した後にタイムトリップさせた。
自分の命を犠牲にして他のクルー達を助けたのだ。
艦長は、艦と共に時空のひずみに飲み込まれ、帰らぬ人となってしまった・・・。
赤ん坊、レオは、とある時代の森の中に時空のひずみから吐き出され、消失からは免れることができた。
しかし、まだ命が危険な状態から脱した訳ではなかった。
少しして、偶然そこを通りかかった者がいた。
その者はレオを見つけ、急いで自分の住む村まで連れ帰り、治療を施した。
幸運にもその時代に存在した治療法は抜群の効果を発揮し、レオは奇跡的に一命をとりとめることができた。
そしてレオを連れ帰った者はレオの親になることを決め、愛する妻と共に暖かい家庭を築いていくのだった。
そして、15年の月日が流れた。
ある日、いつものようにレオは父親、フィオと剣術の稽古をし、変わりない日々を過ごしていた。
しかしその夜、またも事件がレオを襲ったのである。
夕食を済ませ、のんびりと家族と会話していた時、大きな地響きが起こった。
その地響きは、タイムトリップしてきた通信塔が起てたものであった。
そんなことは知る由もないレオは、深夜、幼馴染のニーナと共に、何が起こったかを自分の目で確かめるべく、
通信塔が現れた山頂にむかうのであった。